当ブログは株式会社トミーウォーカー様が運営されるPBW,「TW2:シルバーレイン」のPCのサイドストーリーや、不定期日記などを掲載しています。知らない方は回れ右でお願いします。
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「あぁ、あの子はここ数日来てないよ?」
彼女が通うキャンパスのクラスに直接会いに行って、返ってきた返事がこれだった。通路から教室を覗いてみても、見当たらなかった為にクラスメイトに尋ねてみた結果だ。
「そうか…わかった、ありがとう。」
頼んだ人にお礼を言ってその場を後にするが、どうにもしっくりこない。灯の知る限り、何日も学校を休むような子ではない。灯が携帯電話を持っていないとはいえ、自分に無言でいなくなるとは考えたくない。ならば、よく話をしてくれた場所を回ってみようと思い立った。
散歩コース、書店、行きつけの喫茶店、そして、天体観測所……。
聞いた限りの場所を、聞いた順番に巡り歩いてきた。距離的には、中学生男子が移動できる分を大幅に超えているが、灯にそんなことは関係ない。
さすがにそれだけ歩くと、日も暮れてきてしまう。
どこにも彼女の姿を見つけることが出来ず、灯は途方に暮れる。近代的な連絡手段と方法がピンと来ない灯には、自分の足で探すしか手がなかったから、ほとんど手詰まりだ。
「どあくだーに…聞いてみるか。」
自身が所属している、秘密結社ドアクダーの諜報部なら、彼女の足取りを追えるかもしれない。どうにも気が逸って、少しでも早く帰ろうと天体観測所前の公園を出ようと走る。
「そんなに急いでどこに行くの、君?」
掛けられるのは女性の声。
灯は警戒しながら振り返る。もう直暗くなるというのに、サングラスを掛けた女性。いや、それは灯からすればどうという事はない。
問題なのは、女性の放つ雰囲気。そしてなにより、灯の背後を取ったこと。
気配察知能力は、今まで生きてくるために磨き上げられ、野生動物のそれに近い程鋭敏だ。それを掻い潜ったのだ。これは、相手が明確にこちらの背後を取ろうと意図した事を示している。
「お前…誰だ。俺に…何の用だ?」
底知れないものを感じているため、威嚇がちに質問を投げ掛ける。
女性はそれに動じる様子もなく、気軽に話しかけてくる。
「君、中途半端だね。苦労してるでしょ、それ?」
灯は女性が何を言っているのか分からず、それを顔に出してしまった。
意を得たりと女性が続ける。
「人間のお父さんと、人間じゃないお母さん。どちらかの性質だけを受け継ぐのが普通だけど、君の場合は…見事に半分なんだね、御津乃廉灯君。」
灯は、自分の中で何かがひび割れる音を聞いた。本来、ごく一部しか知らないはずの自分の出自を、目の前の女性は知っている。もしかして、自分以上に………。
「何を…知ってる………俺の、何を…知ってる!」
「なんでも知ってるわよ、灯君。人間の肉体に理性、吸血鬼の魔力と狂気、制御しにくいでしょう?私はね、それを楽にする方法を知ってるから、教えて上げに来たのよ。」
「楽にする…方法?」
女性は灯の反芻に笑みを浮かべ、こう続けた。
「その狂気の元を、吸血鬼の血と力を取り除くのよ。」
そういって女性はバッグに手を入れ……、その瞬間、灯は踊りかかった。
一蹴りで距離を詰め、飛び上がる用に開いた右手で抜き手を放つ。が、貫いたのは何もない空間のみ。
女性は先程と同じ様に、気配を完全に消して灯の背後に立っていた。
「ふふ、中々だけど普通の力じゃ触れないわよ?」
振り向く動作とバックステップで距離を取り、灯は女性を見据える。
女性は余裕の態度を崩さず、残念そうな顔をした。
「あら残念。灯君は人間になりたくないのね。そんなに苦しそうなのに、どうしてなの?」
「俺は…吸血鬼だ!」
灯の叫びはすっかり日が落ちた空に吸い込まれ、輝き始めた星々散らされる。
「じゃ、吸血鬼になりたいの?」
灯は言葉に打ち据えられ、胸に強烈な痛みが走るのを感じた。
その様子を見ていた女性は呆れたように腕の左右に広げる。
「本当に中途半端なのね。人にも吸血鬼にもなれない、まさに蝙蝠ね。その服と一緒。」
女性は表情を厳しくして、さらに言葉の鞭を振り翳す。
「いつの日か、どちらかを決めないといけない日が、必ず来るわ。その時、君はどうするのかしらね?人間を選ぶ?それとも、吸血鬼として陰に生きる?」
苦悶の表情を浮かべて胸を押さえる灯を一瞥した後で踵を返し、女性は歩き始める。少しいった所で立ち止まり、
「この前の狐さんは人間への道を歩き始めたって言うのに。」
灯の直感が何かを告げる。
「お前!…もしかして、…」
「また会いましょう。その時までに、答えを決めておいてね。」
灯の言葉を遮って、そのまま闇に消えていく女性。灯は追いかけるが、どこにもその姿は見つけられなかった。
「俺…人間か、吸血鬼…決める……。とうちゃか…かあちゃか、決める?」
自分の中の2つが鬩ぎ合う。親しい友人たちが知らない事、言ってない事。自分は人間でも吸血鬼でもないという事実。自分はそのままでありたいと思っているが、みんなはそれを許してくれるのだろうか?許されなかったら、自分はみんなの傍に居れるのだろうか?
――怖い
サバイバルを生き抜いた経験は、自己崩壊を起こしかねないこの疑問を、棚上げする方法を導き出し、そちらへ意識を逸らせる。
「さっきのやつ…探さないと。手掛かり……。」
酷くのろのろとした動きで、灯は暗い夜道を歩き始めた。
彼女が通うキャンパスのクラスに直接会いに行って、返ってきた返事がこれだった。通路から教室を覗いてみても、見当たらなかった為にクラスメイトに尋ねてみた結果だ。
「そうか…わかった、ありがとう。」
頼んだ人にお礼を言ってその場を後にするが、どうにもしっくりこない。灯の知る限り、何日も学校を休むような子ではない。灯が携帯電話を持っていないとはいえ、自分に無言でいなくなるとは考えたくない。ならば、よく話をしてくれた場所を回ってみようと思い立った。
散歩コース、書店、行きつけの喫茶店、そして、天体観測所……。
聞いた限りの場所を、聞いた順番に巡り歩いてきた。距離的には、中学生男子が移動できる分を大幅に超えているが、灯にそんなことは関係ない。
さすがにそれだけ歩くと、日も暮れてきてしまう。
どこにも彼女の姿を見つけることが出来ず、灯は途方に暮れる。近代的な連絡手段と方法がピンと来ない灯には、自分の足で探すしか手がなかったから、ほとんど手詰まりだ。
「どあくだーに…聞いてみるか。」
自身が所属している、秘密結社ドアクダーの諜報部なら、彼女の足取りを追えるかもしれない。どうにも気が逸って、少しでも早く帰ろうと天体観測所前の公園を出ようと走る。
「そんなに急いでどこに行くの、君?」
掛けられるのは女性の声。
灯は警戒しながら振り返る。もう直暗くなるというのに、サングラスを掛けた女性。いや、それは灯からすればどうという事はない。
問題なのは、女性の放つ雰囲気。そしてなにより、灯の背後を取ったこと。
気配察知能力は、今まで生きてくるために磨き上げられ、野生動物のそれに近い程鋭敏だ。それを掻い潜ったのだ。これは、相手が明確にこちらの背後を取ろうと意図した事を示している。
「お前…誰だ。俺に…何の用だ?」
底知れないものを感じているため、威嚇がちに質問を投げ掛ける。
女性はそれに動じる様子もなく、気軽に話しかけてくる。
「君、中途半端だね。苦労してるでしょ、それ?」
灯は女性が何を言っているのか分からず、それを顔に出してしまった。
意を得たりと女性が続ける。
「人間のお父さんと、人間じゃないお母さん。どちらかの性質だけを受け継ぐのが普通だけど、君の場合は…見事に半分なんだね、御津乃廉灯君。」
灯は、自分の中で何かがひび割れる音を聞いた。本来、ごく一部しか知らないはずの自分の出自を、目の前の女性は知っている。もしかして、自分以上に………。
「何を…知ってる………俺の、何を…知ってる!」
「なんでも知ってるわよ、灯君。人間の肉体に理性、吸血鬼の魔力と狂気、制御しにくいでしょう?私はね、それを楽にする方法を知ってるから、教えて上げに来たのよ。」
「楽にする…方法?」
女性は灯の反芻に笑みを浮かべ、こう続けた。
「その狂気の元を、吸血鬼の血と力を取り除くのよ。」
そういって女性はバッグに手を入れ……、その瞬間、灯は踊りかかった。
一蹴りで距離を詰め、飛び上がる用に開いた右手で抜き手を放つ。が、貫いたのは何もない空間のみ。
女性は先程と同じ様に、気配を完全に消して灯の背後に立っていた。
「ふふ、中々だけど普通の力じゃ触れないわよ?」
振り向く動作とバックステップで距離を取り、灯は女性を見据える。
女性は余裕の態度を崩さず、残念そうな顔をした。
「あら残念。灯君は人間になりたくないのね。そんなに苦しそうなのに、どうしてなの?」
「俺は…吸血鬼だ!」
灯の叫びはすっかり日が落ちた空に吸い込まれ、輝き始めた星々散らされる。
「じゃ、吸血鬼になりたいの?」
灯は言葉に打ち据えられ、胸に強烈な痛みが走るのを感じた。
その様子を見ていた女性は呆れたように腕の左右に広げる。
「本当に中途半端なのね。人にも吸血鬼にもなれない、まさに蝙蝠ね。その服と一緒。」
女性は表情を厳しくして、さらに言葉の鞭を振り翳す。
「いつの日か、どちらかを決めないといけない日が、必ず来るわ。その時、君はどうするのかしらね?人間を選ぶ?それとも、吸血鬼として陰に生きる?」
苦悶の表情を浮かべて胸を押さえる灯を一瞥した後で踵を返し、女性は歩き始める。少しいった所で立ち止まり、
「この前の狐さんは人間への道を歩き始めたって言うのに。」
灯の直感が何かを告げる。
「お前!…もしかして、…」
「また会いましょう。その時までに、答えを決めておいてね。」
灯の言葉を遮って、そのまま闇に消えていく女性。灯は追いかけるが、どこにもその姿は見つけられなかった。
「俺…人間か、吸血鬼…決める……。とうちゃか…かあちゃか、決める?」
自分の中の2つが鬩ぎ合う。親しい友人たちが知らない事、言ってない事。自分は人間でも吸血鬼でもないという事実。自分はそのままでありたいと思っているが、みんなはそれを許してくれるのだろうか?許されなかったら、自分はみんなの傍に居れるのだろうか?
――怖い
サバイバルを生き抜いた経験は、自己崩壊を起こしかねないこの疑問を、棚上げする方法を導き出し、そちらへ意識を逸らせる。
「さっきのやつ…探さないと。手掛かり……。」
酷くのろのろとした動きで、灯は暗い夜道を歩き始めた。
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その日の風は、震えていた。
特に冷たいわけでもなく、強いわけでもない。
誰に聞いても、普通の風だろう。
だが、風になぶられる長い鬢髪の少年には、それが別のものに感じられる。
息苦しい様な、押し付ける様な、それでいて、渦巻く様な。
何がどう、という事までは分からない。
自分が培ってきた、野生的な勘が告げている。
ふと、最近会えていない少女の顔が思い浮かぶ。
纏わり付く風は、振り払えない。
こんな時、少年が起こす行動は一つ。
「会いに…行こう。」
寂しげに、悲しげに、風は吹きすさぶ。
特に冷たいわけでもなく、強いわけでもない。
誰に聞いても、普通の風だろう。
だが、風になぶられる長い鬢髪の少年には、それが別のものに感じられる。
息苦しい様な、押し付ける様な、それでいて、渦巻く様な。
何がどう、という事までは分からない。
自分が培ってきた、野生的な勘が告げている。
ふと、最近会えていない少女の顔が思い浮かぶ。
纏わり付く風は、振り払えない。
こんな時、少年が起こす行動は一つ。
「会いに…行こう。」
寂しげに、悲しげに、風は吹きすさぶ。
【LEAVES】の皆と参加
【2】
体をすっぽり覆う黒い外套姿に蝙蝠の翼の様に広げた髪型で参加
「恋の…話?恋って…どんな感じ、なんだ?」
いまいち理解できてない感じに首を傾げる
説明を受けたら
「そういうものか…俺、今までは…ないな。」
なんとなく誰かの顔を思い浮かべてる様に宙を見てたり
自分に確信が無いので、誰か聞かれてもはぐらかすだけ
まだ…書き足す、かも?
【2】
体をすっぽり覆う黒い外套姿に蝙蝠の翼の様に広げた髪型で参加
「恋の…話?恋って…どんな感じ、なんだ?」
いまいち理解できてない感じに首を傾げる
説明を受けたら
「そういうものか…俺、今までは…ないな。」
なんとなく誰かの顔を思い浮かべてる様に宙を見てたり
自分に確信が無いので、誰か聞かれてもはぐらかすだけ
まだ…書き足す、かも?
運動会の余韻が残るキャンプファイヤーから離れ、やや薄暗い場所。
しかし、それ故に星明りが周囲を優しく照らす空間。
瞬く星々の下、少年と少女がそれを見上げていた。
「星空…大事な、人たち…思い出すんだ。」
少しの間が空いて、少年はそう答えた。
ぽつりと少年の口から漏れ出た感想に、少女は「話したくなったら、いつでも聞かせてね」と
言った、それへの少年の返事だった。
不思議そうに問い返そうとする少女に構わず、少年は言葉を続ける。
「俺が…ここに来る前、まだ…吸血鬼でも、無かった時。もっともっと…小さかった時の事。」
幼い日の少年、現在は御津乃廉灯という名の少年は、別の名を持っていた。
親を知らず、教育を施されず、物心付き始めた時には、見世物として“仲間”と戦わされていた。
生きる事に必死で生傷も絶えないそんな時期、少年は今の少年と同じ年齢くらいの友だちと一緒に星空を見上げていた。
友だちは言う。星空は命そのものだと。今まで居なくなった“仲間”たちと、星空の下でなら、会えるのだと。みんなはいなくなったのではなくて、あの美しい光となっている、と。
幼い少年はただただ、その星空の美しさに魅入られているのみだった。
ある日、友だちは死んでしまった。もう、いつもの様に一緒に星空を見ることは出来ない。
だが、少年は泣けなかった。“仲間”がいなくなるのは、いつもの事。だから、生き残っている自分が友だちを引き継げばいいのだ。
その夜、幼い少年はいつもの様に星の見える場所に行く。静かで穏やかな唯一の時間。
「俺は…その時、新しい星…見つけたんだ。あれ。」
少年は星がまばらに集まる一角を指し示す。一つだけ存在感のある淡い光を出す星がそこにある。
「あれは…きっと、そいつだ。」
空虚だった時に、自分が触れた感情の一つがそこにあった。
「そう…お友だちと、会えたのね?」
気遣わしげに少女は言葉を掛ける。だが、悲哀ではない。少年の口調が悲しそうでも、寂しそうでもないからだ。辛い記憶を話させてしまった、その後悔が本当の所だ。
しかし、それも杞憂に終わる。少女を見て頷く少年は、満面の笑顔。そうさせたのは、古い友人と久しぶりに会ったからなのか、それとも少女・玉城曜子が理解してくれたからなのか。
その笑顔に、少女の胸に複雑な思いが去来する。少年は今も、人の死に何も感じないのではないか、と。尋ねたくなって、少女は口を開こうとするが、
「もう一つ…ある。かあちゃの…星だ。」
少年は再び、星空に指を差す。西の外れ、淡くも優しく輝く星を。少年は話を続ける。
「俺の…かあちゃの、記憶…全部、星空…なんだ。」
今度の口調は、寂しさの色が強い。
少年は、それでも話をやめない。聞いて欲しいと思うから。
「俺を…吸血鬼に、したのは…かあちゃだ。俺…人間だったけど、半分…吸血鬼だったんだ。」
それは、月が青白い光を反射していた夜。少年は夜中にぼんやり目を覚ます。窓際に腰掛けて、こっちを見ていた何かが、そのまま月と星が彩る空へと飛び上がる姿がうっすらと目に映る。
月に向かって行く蝙蝠の翼のシルエットを最後に、少年は再び眠りに落ちた。
「それが…かあちゃとの、最初の記憶。」
少年は語る。その後、北海道にて母と再会した事、10年以上を経てようやく抱上げてもらった事、少年を探し続けた母の想い、そして……別れの事。
「かあちゃは…俺を守って、死んじゃった。でも…その日に、また…新しい星、見つけた。あれが
…俺の、かあちゃ。」
少年の瞳には、涙が溜まっていた。無表情のまま、涙だけを流している。少女はハッとして、少年の涙をハンカチで拭う。
「灯君、無理しなくて、いいのよ?」
少女の気遣いに、少年は首を振る。涙は止まらない。だが、少年は微笑んでいた。
少女は思う。少年は何も感じていないのではない。一つ一つ、乗り越えてきたのだと。いや、乗り越えつつあるのだと。それでも、全てを背負うには少年は小さくて。特殊な生い立ち故に、自分の心の中は誰とも共有できずに孤独で。
「ようこ…ありがとうな?なんか…楽に、なった。」
「あ…う、うん。どういたしまして…。」
少年は自分の大事な事を、少女に教えた。他の誰でもなく、少女に。
運動会後のフォークダンスに誘われて、踊りを堪能して、少し静かな場所でこうして星を見上げている。
これは必然だったのだろうか?そうであるならいいと、少女は思う。
「灯君は、お母様やお友だちと、会えるから、星空が好きなのね。」
うん!、と少年は笑顔で答える。その笑みは、嬉しさの大きさを表しているかの様だ。
つられて少女も微笑む。今、お互いの間に統一感のある空気が、確かに流れている。
それは心地よくて、それでいて・・・・・、
「ようこは…なんで、星空…好きなんだ?」
「そう、ね…。私は――――」
少女は語る。同じ星空に、2つの思い入れ。少年のものに比べれば些細な事かもしれないが、知ってもらえれば、2つの思い入れを共有できると思ったから。
少年は聞き入る。少し軽くなった心で。まだ迷うことも葛藤も多いけど、今、自分は孤独ではないと分かったから。
少女はゆっくり、かみ締める様に語る。少年は夜空を見上げながら聞き入る。
二人を照らす無数の星々は、それぞれの想いを映して優しく光を落としていた。
しかし、それ故に星明りが周囲を優しく照らす空間。
瞬く星々の下、少年と少女がそれを見上げていた。
「星空…大事な、人たち…思い出すんだ。」
少しの間が空いて、少年はそう答えた。
ぽつりと少年の口から漏れ出た感想に、少女は「話したくなったら、いつでも聞かせてね」と
言った、それへの少年の返事だった。
不思議そうに問い返そうとする少女に構わず、少年は言葉を続ける。
「俺が…ここに来る前、まだ…吸血鬼でも、無かった時。もっともっと…小さかった時の事。」
幼い日の少年、現在は御津乃廉灯という名の少年は、別の名を持っていた。
親を知らず、教育を施されず、物心付き始めた時には、見世物として“仲間”と戦わされていた。
生きる事に必死で生傷も絶えないそんな時期、少年は今の少年と同じ年齢くらいの友だちと一緒に星空を見上げていた。
友だちは言う。星空は命そのものだと。今まで居なくなった“仲間”たちと、星空の下でなら、会えるのだと。みんなはいなくなったのではなくて、あの美しい光となっている、と。
幼い少年はただただ、その星空の美しさに魅入られているのみだった。
ある日、友だちは死んでしまった。もう、いつもの様に一緒に星空を見ることは出来ない。
だが、少年は泣けなかった。“仲間”がいなくなるのは、いつもの事。だから、生き残っている自分が友だちを引き継げばいいのだ。
その夜、幼い少年はいつもの様に星の見える場所に行く。静かで穏やかな唯一の時間。
「俺は…その時、新しい星…見つけたんだ。あれ。」
少年は星がまばらに集まる一角を指し示す。一つだけ存在感のある淡い光を出す星がそこにある。
「あれは…きっと、そいつだ。」
空虚だった時に、自分が触れた感情の一つがそこにあった。
「そう…お友だちと、会えたのね?」
気遣わしげに少女は言葉を掛ける。だが、悲哀ではない。少年の口調が悲しそうでも、寂しそうでもないからだ。辛い記憶を話させてしまった、その後悔が本当の所だ。
しかし、それも杞憂に終わる。少女を見て頷く少年は、満面の笑顔。そうさせたのは、古い友人と久しぶりに会ったからなのか、それとも少女・玉城曜子が理解してくれたからなのか。
その笑顔に、少女の胸に複雑な思いが去来する。少年は今も、人の死に何も感じないのではないか、と。尋ねたくなって、少女は口を開こうとするが、
「もう一つ…ある。かあちゃの…星だ。」
少年は再び、星空に指を差す。西の外れ、淡くも優しく輝く星を。少年は話を続ける。
「俺の…かあちゃの、記憶…全部、星空…なんだ。」
今度の口調は、寂しさの色が強い。
少年は、それでも話をやめない。聞いて欲しいと思うから。
「俺を…吸血鬼に、したのは…かあちゃだ。俺…人間だったけど、半分…吸血鬼だったんだ。」
それは、月が青白い光を反射していた夜。少年は夜中にぼんやり目を覚ます。窓際に腰掛けて、こっちを見ていた何かが、そのまま月と星が彩る空へと飛び上がる姿がうっすらと目に映る。
月に向かって行く蝙蝠の翼のシルエットを最後に、少年は再び眠りに落ちた。
「それが…かあちゃとの、最初の記憶。」
少年は語る。その後、北海道にて母と再会した事、10年以上を経てようやく抱上げてもらった事、少年を探し続けた母の想い、そして……別れの事。
「かあちゃは…俺を守って、死んじゃった。でも…その日に、また…新しい星、見つけた。あれが
…俺の、かあちゃ。」
少年の瞳には、涙が溜まっていた。無表情のまま、涙だけを流している。少女はハッとして、少年の涙をハンカチで拭う。
「灯君、無理しなくて、いいのよ?」
少女の気遣いに、少年は首を振る。涙は止まらない。だが、少年は微笑んでいた。
少女は思う。少年は何も感じていないのではない。一つ一つ、乗り越えてきたのだと。いや、乗り越えつつあるのだと。それでも、全てを背負うには少年は小さくて。特殊な生い立ち故に、自分の心の中は誰とも共有できずに孤独で。
「ようこ…ありがとうな?なんか…楽に、なった。」
「あ…う、うん。どういたしまして…。」
少年は自分の大事な事を、少女に教えた。他の誰でもなく、少女に。
運動会後のフォークダンスに誘われて、踊りを堪能して、少し静かな場所でこうして星を見上げている。
これは必然だったのだろうか?そうであるならいいと、少女は思う。
「灯君は、お母様やお友だちと、会えるから、星空が好きなのね。」
うん!、と少年は笑顔で答える。その笑みは、嬉しさの大きさを表しているかの様だ。
つられて少女も微笑む。今、お互いの間に統一感のある空気が、確かに流れている。
それは心地よくて、それでいて・・・・・、
「ようこは…なんで、星空…好きなんだ?」
「そう、ね…。私は――――」
少女は語る。同じ星空に、2つの思い入れ。少年のものに比べれば些細な事かもしれないが、知ってもらえれば、2つの思い入れを共有できると思ったから。
少年は聞き入る。少し軽くなった心で。まだ迷うことも葛藤も多いけど、今、自分は孤独ではないと分かったから。
少女はゆっくり、かみ締める様に語る。少年は夜空を見上げながら聞き入る。
二人を照らす無数の星々は、それぞれの想いを映して優しく光を落としていた。
○海を堪能しよう!
達磨を砂に埋めて遊ぶ
「これ…砂風呂、だっけ?」
しかし、灯はこの遊びの本当の意味を知らなかった!
言われるままに砂を盛って、そして工作技術を駆使して達磨をぼん・きゅ・ぼんのナイスバディに!
砂の工作なのに丁寧にビキニまで着ているという
「これで…完成、か?」
一通り作ったらちょっと運動したくなって軽く(凄まじい速度で)海を泳いでみたり
○個人で遊んでみましょう!
泳ぐのに満足したら、猫を呼んで一緒に穴掘り
彫った砂は一箇所に集めて水をかけ崩れないように積み上げていく
ある程度大きくなったら、ペインティングナイフで細かい所を作っていく
それはもう一心不乱に
一般技能:持久力と、ドアクダーで培った工作技術を駆使して日本の城(堀完備)を完成させるのだ!
「できた!」
途中、ビーチボールがこっちに飛んできたら、スポーツ万能なこの少年は凄まじいレシーブを見せてくれることでしょう(妙に悪路バティックに)
○焚火でご飯だ!
友人の喫茶店で働いている技術を遺憾なく発揮して、絶品アイスティーを振舞う
慣れた手つきでお盆(明らかに積載過多)に乗っているお茶入りグラスを配って回る
配り終えると、さすがに遊び倒した腹ペコ吸血児は一心不乱に食べ始める
「おぉ~…おいしい!」
好き嫌いなくなんでもむぐむぐ……ぐっ!←詰まらせた
○口調等
「~~…~~、~~…~~、~~」
全員ファーストネームを平仮名発音
精神年齢小学4年生くらい
(596文字)
背後が試行錯誤したため、このような書き方になっています。
達磨を砂に埋めて遊ぶ
「これ…砂風呂、だっけ?」
しかし、灯はこの遊びの本当の意味を知らなかった!
言われるままに砂を盛って、そして工作技術を駆使して達磨をぼん・きゅ・ぼんのナイスバディに!
砂の工作なのに丁寧にビキニまで着ているという
「これで…完成、か?」
一通り作ったらちょっと運動したくなって軽く(凄まじい速度で)海を泳いでみたり
○個人で遊んでみましょう!
泳ぐのに満足したら、猫を呼んで一緒に穴掘り
彫った砂は一箇所に集めて水をかけ崩れないように積み上げていく
ある程度大きくなったら、ペインティングナイフで細かい所を作っていく
それはもう一心不乱に
一般技能:持久力と、ドアクダーで培った工作技術を駆使して日本の城(堀完備)を完成させるのだ!
「できた!」
途中、ビーチボールがこっちに飛んできたら、スポーツ万能なこの少年は凄まじいレシーブを見せてくれることでしょう(妙に悪路バティックに)
○焚火でご飯だ!
友人の喫茶店で働いている技術を遺憾なく発揮して、絶品アイスティーを振舞う
慣れた手つきでお盆(明らかに積載過多)に乗っているお茶入りグラスを配って回る
配り終えると、さすがに遊び倒した腹ペコ吸血児は一心不乱に食べ始める
「おぉ~…おいしい!」
好き嫌いなくなんでもむぐむぐ……ぐっ!←詰まらせた
○口調等
「~~…~~、~~…~~、~~」
全員ファーストネームを平仮名発音
精神年齢小学4年生くらい
(596文字)
背後が試行錯誤したため、このような書き方になっています。