当ブログは株式会社トミーウォーカー様が運営されるPBW,「TW2:シルバーレイン」のPCのサイドストーリーや、不定期日記などを掲載しています。知らない方は回れ右でお願いします。
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「灯君の質問、ちゃんと答えて、なかったわね……でも、時間が無いから……宿題に、するわ」
森の中を走りながら考える。
自分の走る速度より疾く。血の流れより疾く。
彼女の言い残した言葉の意味を考える。
再会の果て、雌雄を決する事になってしまった彼女。それは、今自分が求める人の母親だったのかもしれない。自分はその人の手を捕まえられなかった。
一度正気に戻ったように見えたのは、見間違いだったのか?見間違いでないのなら、彼女に決心をつけさせてしまったのは自分の様な気がする。
“ゴースト”
自分は彼女に、こう言い放った。もちろんそれは、自分の中で特別な言葉ではない。自らの内にそれを取り込むことが出来る血を持つ身だからこそ、ゴーストは“人”の裏面で隣人だと思っているから。でも、この一言が変化をもたらしてしまった事は確かな事で。
他の人が言っても同じだったのか?
それは違う。自分が言ったからこそ、そこには普段とは別の意味があるという事を、彼女は知っているはずだ。自分の信条を、直接聞いているのだから。だから、彼女が求めた答えのために最後の行動を取ったのではないか。少なくとも、怒りを喚起させるサタニックビートの旋律に、悲しみと安堵の情が混じっていた様に聞こえたから。
もっと自分が上手く話せたら、今一緒に走っていただろうか?
もっと強ければ、怒りに我を忘れる事はなかっただろうか?
栓の無い悔しさが浮かんでは消える。
音より疾く。光より疾く。
どれだけ思っても、自分には言いまわす言葉使いが思い浮かばない。どれだけ考えても、直接的な言い方しか出来ない。それが相手を傷つける結果になっても、今の自分にはこれしか出来ない。
自分の思いは、彼女に伝わっていたのだろうか?どんな姿になっても、一緒に居たいと思うことはいけないことだったのだろうか?同じ気持ちを持っていれば、自分と彼女は同じ“存在”だったのではないのだろうか?
聞いてみたいが、その機会はもう、有り得ない。あったとして、自分には優先する事がある。彼女に託された“想い”があるから。
思い出せ、刃を交えたあの瞬間を。
想い出せ、言葉を交わしたその刻を。
彼女は何の為に、誰の為に、人ならざるその身になってまで永らえていたのか。
彼女は自分の為に、どうしようとして、自分と接触し、目的達成の直前に自分たちの前に姿を現したのか。
彼女が自分たちに対して抱いた感情はなんだったか、彼女が自分に何を決断させようとしていたか。
只一点、その中の只一点が、彼女が最後に手にした答えそのもの。
彼女が自分に求めた物、それは彼女が求めて止まない者。
――― 曜子 ―――
どくん、と胸が大きく脈打つ。
彼女が最後に自分に課したものの意味なんて、分からない。彼女の想いも、分からない。でも、彼女ははっきりと「宿題」と言った。
何も知らず、分からずな自分にも導き出せる答え。自分の中にあって、彼女には分かっている事。
彼女が見せた最後の笑み、それは、自分の母親の最後に見せた自分への笑みと同じ。彼女のその笑みは、自分を通り越したその後ろにあるあの子に向けられていて。
「分かった…任せて、くれ。でも…俺は、俺の事しか…分かんないんだ。」
走りながら呟く。
彼女は、最後まであの子の事だけを想っていた。だから、それが自分に向けた事じゃないのは分かる。それでも、彼女は確かに自分に選択を迫った。あの子に繋がる、自分自身の立場を。
自分はまだまだ心の機微は分からない。だから、彼女が自分に残した「宿題」を想い続ける。彼女と会って、気付かされた事がある。そして、託された人がいる。
――― 次は、絶対に捕まえてみせる。 ―――
握れなかった大きな手。その手が掴もうとしていた小さな手。
柄みたい小さな手。それがもう掴めない大きな手。
両方を取る事は出来なかったけど、片方は掴み取る。そして、交わる事が出来ない二つの手を重ねさせてやりたい。きっとこれが、自分の役目。そして、小さな手に添い続けたいと願うのが、自分の気持ち。
もうすぐ会える。
彼女の願いも、自分の気持ちも連れて、ようやく出会う事が出来る。
目指す不可侵の領域に踏み込み、洞窟が迫ってくる。
自分は、御津乃廉灯は、左手に持つ得物を足場にして大きく飛び上がった。
「ようこ!」
森の中を走りながら考える。
自分の走る速度より疾く。血の流れより疾く。
彼女の言い残した言葉の意味を考える。
再会の果て、雌雄を決する事になってしまった彼女。それは、今自分が求める人の母親だったのかもしれない。自分はその人の手を捕まえられなかった。
一度正気に戻ったように見えたのは、見間違いだったのか?見間違いでないのなら、彼女に決心をつけさせてしまったのは自分の様な気がする。
“ゴースト”
自分は彼女に、こう言い放った。もちろんそれは、自分の中で特別な言葉ではない。自らの内にそれを取り込むことが出来る血を持つ身だからこそ、ゴーストは“人”の裏面で隣人だと思っているから。でも、この一言が変化をもたらしてしまった事は確かな事で。
他の人が言っても同じだったのか?
それは違う。自分が言ったからこそ、そこには普段とは別の意味があるという事を、彼女は知っているはずだ。自分の信条を、直接聞いているのだから。だから、彼女が求めた答えのために最後の行動を取ったのではないか。少なくとも、怒りを喚起させるサタニックビートの旋律に、悲しみと安堵の情が混じっていた様に聞こえたから。
もっと自分が上手く話せたら、今一緒に走っていただろうか?
もっと強ければ、怒りに我を忘れる事はなかっただろうか?
栓の無い悔しさが浮かんでは消える。
音より疾く。光より疾く。
どれだけ思っても、自分には言いまわす言葉使いが思い浮かばない。どれだけ考えても、直接的な言い方しか出来ない。それが相手を傷つける結果になっても、今の自分にはこれしか出来ない。
自分の思いは、彼女に伝わっていたのだろうか?どんな姿になっても、一緒に居たいと思うことはいけないことだったのだろうか?同じ気持ちを持っていれば、自分と彼女は同じ“存在”だったのではないのだろうか?
聞いてみたいが、その機会はもう、有り得ない。あったとして、自分には優先する事がある。彼女に託された“想い”があるから。
思い出せ、刃を交えたあの瞬間を。
想い出せ、言葉を交わしたその刻を。
彼女は何の為に、誰の為に、人ならざるその身になってまで永らえていたのか。
彼女は自分の為に、どうしようとして、自分と接触し、目的達成の直前に自分たちの前に姿を現したのか。
彼女が自分たちに対して抱いた感情はなんだったか、彼女が自分に何を決断させようとしていたか。
只一点、その中の只一点が、彼女が最後に手にした答えそのもの。
彼女が自分に求めた物、それは彼女が求めて止まない者。
――― 曜子 ―――
どくん、と胸が大きく脈打つ。
彼女が最後に自分に課したものの意味なんて、分からない。彼女の想いも、分からない。でも、彼女ははっきりと「宿題」と言った。
何も知らず、分からずな自分にも導き出せる答え。自分の中にあって、彼女には分かっている事。
彼女が見せた最後の笑み、それは、自分の母親の最後に見せた自分への笑みと同じ。彼女のその笑みは、自分を通り越したその後ろにあるあの子に向けられていて。
「分かった…任せて、くれ。でも…俺は、俺の事しか…分かんないんだ。」
走りながら呟く。
彼女は、最後まであの子の事だけを想っていた。だから、それが自分に向けた事じゃないのは分かる。それでも、彼女は確かに自分に選択を迫った。あの子に繋がる、自分自身の立場を。
自分はまだまだ心の機微は分からない。だから、彼女が自分に残した「宿題」を想い続ける。彼女と会って、気付かされた事がある。そして、託された人がいる。
――― 次は、絶対に捕まえてみせる。 ―――
握れなかった大きな手。その手が掴もうとしていた小さな手。
柄みたい小さな手。それがもう掴めない大きな手。
両方を取る事は出来なかったけど、片方は掴み取る。そして、交わる事が出来ない二つの手を重ねさせてやりたい。きっとこれが、自分の役目。そして、小さな手に添い続けたいと願うのが、自分の気持ち。
もうすぐ会える。
彼女の願いも、自分の気持ちも連れて、ようやく出会う事が出来る。
目指す不可侵の領域に踏み込み、洞窟が迫ってくる。
自分は、御津乃廉灯は、左手に持つ得物を足場にして大きく飛び上がった。
「ようこ!」
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